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2015/09/13

割れに宿る世界

 割れのある材は、状態にもよるが、通常は家具材としては使えないので、薪用としてとっておくことになる。薪にしようとさらにカットしたとき、桃から生まれた桃太郎状態で、中に秘める自然の造形に魅せら、薪にできずにいることも多い。
 
 乾燥時の割れは比較的新しいのでそれほどの魅力を感じることは少ないが、昔から存在しているあろう内部に潜む割れは、自然の造形の美しさやおどろおどろしさや驚きを感じさせることも多く、薪にするのはもったいない心理に火をつける。
 
 特にまれに年輪に沿って割れが入っているところなどは樹皮かと思わせる不思議な輝きを放っているし、芯近くのどうしよも無い複雑な割れの中にも、ある時期の何かの外的或は内的要因でその歴史が刻み込まれたメッセージを秘めていることも多い。

 かといってそれをどうするかというと、なかなか作品にするアイデアも時間も乏しく、最近は工作応援端材としてみなさんにお分けしている。「なんでこんな割れたものが入っているの?」とお叱りをうけるかもしれませんが、新たな息吹を拭き込んでもらえればと願っています。

        左はメープル                     右はヤマザクラ   
  
  ヤマザクラは年輪に沿った割れが、・・・
  メープルは丸太の芯に近いところで複雑などうしようもない割れを含んでいる

  どうしようもない我だけどそれなりに存在意義はあるのか?が問われるところです。



 サクラの方は樹皮を剥いたような、美しいつるつる面が現れた。 凹凸両面ツルツルがなんとも愛おしい。これはもう凹凸合わせるだけの楽しみで十分癒やしの効果がある。


 
  メープルの方は、割裂したような荒々しい様子でこちらはどうしようもないのですが、深まった色合いと、独特の雰囲気は捨てがたい。これらもまた当然凹凸ペアになるが、ベキベキと剥がれたところは密着はしない。あたりまえだのクラッカーだ。

 いつか時代に何かがあったのだろうと 我に宿る世界 に思いを馳せてみるのもまたおかし。
こんなところで立ち止まっているので、てんで仕事が進まない・・・・

2014/12/29

年輪と人生

一年経つのが早くなった。みんなそういう。
子供のころ、一年が長かったのは、毎日新しい刺激に遊び暮れていたので充実していたから?
いやいや忙しいのは今のほうが、完璧に忙しい。
やること山ほどで追われて、追われて毎日が過ぎるから早く感じるの?
今年も頑張ったし、いろんな事がたくさんあった。
でもこうして正月準備をしていると、
今年こそと結局一年そのままの状態の案件も山ほどで、虚しく早く感じてしまう。


写真は、先に報告したタモのテーブルの脚をカットしてコースターにしたものです。
四方柾なので年輪が斜めに美しく走っている。年輪を数えてみた。
7センチ角のこの断面だけで110年以上を刻んでいる。なんということだ。

下の材は 元のタモの原板です。年輪は怖くて数える気がしません・・・
幅から推定するとく300年は優に超えている。いや400年くらいあるかもしれないのです。

一年に1ミリくらいしか太くならない北海道の原生林。ミズナラもこういうのがある。
 眺めていると、「僕はこのへんで生まれて・・・」と、妙に人生がちっぽけに儚く感じてしまう。
人間の寿命よりも、数倍あることが、ちょうど数倍等身大?で畏敬の念を感じるのかな。

一年で少しずつしか大きくならないけれど、でも一年一年の積み重ねで、成長していく。
来年もまた少しずつでもやりたいことを挑戦して、続けていくだわい。なーんちゃって。

2014/08/01

されど端材

この夏は工作キット類と工作応援端材の注文がうれしい悲鳴を上げている。特に、端材の方は、本来家具の製作で出る端材をお分けしているが、特に細かいサイズのものが、全然足らなくなり、端材を作るために頑張って家具を作っている感じの本末転倒状態。赤信号も点灯している。比較的大きな端材をさらに細かくカットしたりして、これは結構気を使い、一体私は何をしているのだろうという瞬間もある。でもお客さまがそれぞれの思いで、端材に新たな命を吹き込んでくれることはうれしいことだと思いなんとか頑張っている。



先日あるお客さまから「木のサンプルミニ12種」のご注文いただいた。電話だったので、伺ってみると、お子様は小学3年生で、木に興味があるので、自由研究の一助にしたいという。なんとうれしいことだろうっと、そこでちょっとひらめいた。私の工作用の端材も同時に注文してもらい、木のサンプルをもとに、木っ端の樹種を分類してみるのはどうかっと。
同じ樹種でもいろんな風合いがあり、木のサンプルミニから類推することは容易ではない。そこを五感を研ぎ澄ませて、感じてみる。正解は学校の先生もきっとお手上げだから、気にしなくていい。



賛同頂いたのがこのセット。通常は工作用として詰めるが、今回は樹種を意識して詰めた。サンプルにない、桐や楡がダミーとして意地悪に入れてある。
ちなみにサンプルセットが700円で、端材2キロセットが1000円この価格の差はどうかって思ったりもするが、総額でこのくらいで、ひょっとすれば、お子さんの人生も変わるかもしれない。と思うと、たかが端材。されど端材なのである。

2014/06/18

サクラの個性3

またサクラの話ですが・・・・。
耳付きのサクラらしい机ということで3台作りました。サイズは幅1000×奥行き600前後(高さは700)です。サクラでもこんなに違うの?というのを楽しんで頂きながら、私はこれかなっ!という出会いがあれば最高かなっと。

一台目・・・

 2台目・・・
 3台目・・・

◎いずれも天板耳の状態は美しく、抽斗の前板はその風合いに合わせてコーディネートしました!
7月の机展に持って行こうかとおもいますが、多分どれか一台しか持っていけなさそうで、残りは天板だけの展示の予定です。※またこれとは感じの違うサクラの机をHPの机展の案内のところに掲載しましたので、こちらもご覧ください。http://www.woodgruppe.com/event/exhibition/index.html

みなさんはどれがお好みですか?ご希望お聞かせください。

2014/06/12

杢々チェリーの机完成記念!

  杢々チェリーの机完成記念に、チェリーについて日本のサクラと比較してちょっとまとめてみました。
 
 サクラの英名はチェリー。言葉では同じ意味を指すが、樹木としては、私の出会いの中では明らかに異なる。立ち姿は残念ながら見たこと無いが(いつかアメリカにいって見てみたい!)、貯木場に横たわる丸太は何度か目にしている。


 一見してサクラっぽくない。チェリーの方がちょっと黒っぽい感じのするものや、ゴワゴワ感も大きな感じのものが多く、サクラの革細工に使うような横縞の樹皮はチェリーでは見たことが無い。ただ樹皮の様子は成長によって変わってくるらしく、サクラも老木になるに連れてゴワゴワタイプに変わっていく。チェリーも図鑑などでは縞々のものも目にする。輸入されるチェリーの丸太はある程度の樹齢のものが入ってくるので、そうなのかもしれない。ただ切り口の断面はチェリーの方が明らかに赤っぽく濃い物が多い。真っ赤なサクランボに対して、ワインレッドのアメリカンチェリーの黒っぽい実の差はありそう。
 
 材木としては、日本のサクラが個性豊かでいろんな風合いがあることを先日書きました。チェリーはサクラほど多くの本数を製材していないけれど、どうもサクラほどの風合いの違いはないように思う。もちろん一本一本みな違うことは違う。
 
 板にすれば、サクラと区別がつかないものもあるが、全体的にはやはり、ピンクっぽい。また経時でかなりワインレッドくらい深まるものもあるが、サクラでそこまで濃くなるものは見たこと無い。あとチェリーにはガミと呼ばれる独特の黒い筋(樹脂痕)がよく現れるが、サクラにはまず無い。(斑点ででることはある。)

 さてそんな中、次の写真は今回使った杢々チェリーの丸太。もう8年も前のことなので、その時の記憶はだいぶ薄れているが、樹形は、以外に?真直ぐで波々とうねっているわけではない。でも樹皮はよーく触ると細かく波打っている感じはあった。でもその時はまさかここまで波々だとは予想しなかったので製材時に感激したものだ。ところでなぜこんな模様になるのだろう?
波々のチェリーの丸太。外見では並々?(2006年撮影)

次の写真は1年後(2007年)、製材乾燥が終わり、工房に運んだ時の板の様子。
製材後乾燥上がった波々チェリーの一部(2007年撮影)


 原板の様子(上段の2枚)からも全面杢々なのがわかる。日本のサクラではこんなの見たこと無い。(ミズナラでは見たことがある。)さざ波のように波々なので、波状杢というようである。いずれにしても並々ではなくちょっと貴重なことは確か。
そして、やっとのこと7年の歳月を経て(あんまりこの時間に意味はない・・・ちょうど両親が亡くなった年ではあるくらいで)・・・・ このたびようやく総杢々チェリーの机が完成したのでありました。


1月時のブログでこの板を使った天板の板矧ぎのことを書きましたので是非参考にしてください。
http://gruppe-haku.blogspot.jp/2014/01/blog-post_28.html
構造材も全部チェリー、抽斗の側板も底板にも杢々板をふんだんに使いました。ちょっとやりすぎたかな。


かみさんにドヤ顔でお披露目すると・・・「わ~すごい!でも机としてはちょっと落ち着かない???」ってそっ、そんな~~!・・・机展にもってけますので。お楽しみに。

ところで今日サクランボを少し収穫しました。
甘酸っぱい薫りに包まれて、2014年6月11日撮影
 サクランボもアメリカンチェリーも実のなる木は、家具にする木とは残念ながら種類が違うようです。
いろいろ奥は深いですな。






2014/06/04

サクラの個性2

 長さ1500奥行き500のサクラの耳付きの一枚板。手持ちの材では、なかなかこれっという決定板が見つからない。先週、長野市の鎌倉木材の展示会で、なかなかおもしろそうな板をみつけた。長さは2200ほど、手前は乾燥割れが大きく入っていて、そこをカットして、残りでちょうど1500をキープできそう。白太が厚そうで、節もあり、ワイルドんな感じですが、耳のラインのおもしろさと、サイズがジャストということで、一枚買いした。


 昨日板が届いたので、さっそく、きょう購入したおニューの5本指シューズをはいて、作業にとりかかった。板の捻れが結構あり、やはり格闘技。でも手押し鉋にかからないところは、電動かんなで。吸い付くような大洋の手押しと、忍者気分のシューズが相まって、一気にバッチリいきました。なお原板厚みが50ミリのところ仕上がりで35ミリ。


幅はどこを測るかで数字表現が難しいですが460から500+くらい。
両側とも耳の状態は良いので、このまま両方耳を残してそのまま天板として使っ
てもいいですし、後ろを少しまっすぐカットしてもいいでしょうか。
S字カーブの左手前は少しカットしました。

反対側の耳も美しい



 ということでやはりサクラは個性豊か!
というお話と・・・・新作5本指シューズのお話でした。



2014/06/03

サクラの個性

サクラの話はこれまで幾度も書いてきたけれど、先日サクラの座卓を納品して、今また、丁度ダイニングテーブルとワークデスク用のサクラの天板を準備していて、なんともサクラの個性の豊かさを悩ましいくらい感じています。
同じ丸太からの3枚、天板用にやや厚めに製材したが乾燥での捻れ思ったとうりにはなかなかいかない(涙)
広葉樹と針葉樹は違うところがたくさんあるが、その1つに、広葉樹は丸太一本一本の個性が豊かなことがあげられる。針葉樹は外形的にもまっすぐすっとした木が多く、もちろん成長の具合や産地で異なるのだけれど、板にした時のぱっと見の印象は良く似通ったものが多い。
 一方、広葉樹は見た目の樹形的には同じものは2つとありそうでないし、それに加え産地や土質などでまた大きく違ってくるのだろう。とにかく個性豊かだ。その中でも「サクラ」。これまで70本以上の丸太を製材してきたが、板にした時の風合いはほんとに個性豊か。板を見れば、あの時のあの丸太!と思い出すことができるほど。
 クルミもサクラの何倍もの本数を製材してきたが、サクラほどのバリエーションはない。どうしてサクラはこれほど個性が豊かなのか。その地形や土質の影響を受けやすいのでしょう。世の中には何々サクラといってかなりの種類があるらしい。そんな樹種違いもある。私の入手しているのは、いわゆるオオヤマサクラ(山桜)であるが、ひょっとしたら、細かい分類の種類の違う丸太も混ざっているのかもしれない。
真ん中の板が上の写真の3枚の右端の板。この写真の両側はまた違う丸太。左はさらに赤みがある。
 概して色の濃い木は、その濃さにいろいろあり、またサクラのように白太がはっきりしているものは、その白太とのコントラストの風合いも大きくイメージが異なる。同じ色合いであったとしても、樹形が異なると、これまたイメージが違ってくる。
 今回はテーブル用でサクラでも色が薄め。机用でやや赤みをご希望で準備を進めている。ともに長さが1500で耳付き 希望なので、手持ちの材をいろいろ出して、同時に耳のラインの好みを伺いながら進めている。それぞれにフィットする板に出会いますように(合掌)
赤みのある板と同じ丸太の板違い。どちら側を手前にするかでも好みが別れるところ。



先日納品したサクラのブックマッチの座卓、こんなサクラの丸太にはおそらくもう出会うことはもう無いと思う。

 てな感じです。


2014/04/06

古知谷・阿弥陀寺

京都の岩倉方面に机の配達があり、琵琶湖大橋から途中越で京都大原に入るルートを辿った。途中の途中に昔なんどか訪れたお寺があり、できれば寄ってみたかった。名前も場所もうろ覚えであったが、バイパス道路から旧道に入る案内に「古知谷・阿弥陀寺」とあり、その瞬間、ここだ!そうだ阿弥陀寺だ!と微かに残る昔の記憶が少し蘇った。


19歳の時だからもう37年前のこと。京都市内で住み込みの仕事をしていた浪人時代、気晴らしに50ccのバイクで何度か立ち寄った。道路際のこの大陸風の独特の門から、しばらく山道を登るとひっそりと本堂がある。誰に会うこともなく、本堂に上がらせてもらい、ひとり座禅を組んで「俺はこの先どうなるのだろうかと」それっぽく瞑想に耽けってたりしていた。

 その時は木工家になろうとは夢にもおもわなかったし、この樹齢800年のカエデの古木はまったく覚えていない。でもこのカエデの木の精は、覚えてくれていたかもしれない。紆余曲折を経て今日木工家になった私に、「久しぶりにおこしやす」と語りかけてくれたような気がした。






 今回は受付けに若いお坊さんがいらっしゃったが、観光客は私一人。今日も少し座禅を組んで、
この吸い付きは?・・・・温かみのある仕事ですな。と感心している自分に時の流れを感じてみました。

2014/03/29

チェリーとサクラ

「チェリーの赤みのある暖かさが好き」かつ「耳付きがいいなあ」というご希望でしたが、チェリーの耳付き材はストックがないので、天板は日本のサクラにしました。バランスを考えて、チェストの天板と抽斗の前板もサクラにしました。つまり机の脚と構造材とチェストの側板などはチェリー。天板と前板はサクラで楽しんでみました。

チェリーとサクラはもともと似ているので、また同じ樹種でも一枚一枚風合いが違うこともあり、結局言われてみないとわからないかもしれない。特に机の抽斗は赤みの美しいチェリーっぽいサクラを使ったのでそこが見極めればかなりマニアック。時間がたって深まってどんな変化をしていくのか楽しみです。そうそう抽斗のハンドルはチェリーです。







2014/03/28

BWとチェリー

先日4年生の男の子(川崎市のT君)にチェリーのシンプルデスクとブックボックを届けた。2年前のお兄ちゃんの時はブラックウォールナット(BW)。2つの机をどのような配置にしたらいいでしょうか?ということで、並べたり離したりいろいろ動かしてみた。この背面合わせは広いテーブルになり遊べるよ。とご両人は結構気に入ってくれた。BWとチェリーというアメリカ広葉樹の人気樹種の対比が美しい。たまたま木目の風合いも似ていていい感じ。やっぱり無垢はいいなあ。

次の3人目は女の子です。どの樹種にしようか?ってそれはもう次はメープルかな!
或は日本のイタヤカエデできらめくか。日本のサクラでいくか、
チェリーの時に候補にあがったマホガニーかな?

2014/03/16

宇宙は無から生じた

はてしもなく広大な宇宙をひも解くのに、逆に小さい小さい素粒子の世界を極めなければならないことがとてもおもしろいと感じています。そこまではいきませんが・・・
板に刻み込まれた模様を眺めていると、ふっと宇宙に思いを馳せてしまうことがあります。この写真は1月のブログで紹介しました「友木」のブラックウォールナット天板です。一部銀河状に?黒化したところの中心に小さな穴が残ったのでそのままにするか迷いましたが、ブラックホール?をイメージしてローズウッド(右)とコクタン(左)で契を埋めて楽しんでみました。


今年になってからですが、「宇宙が始まる前には何があったのか?」(原題A UNIVERS FROM NOTHING)(ローレンス・クラウス著、青木薫訳)という本を読んでいます。この手の本はいつも半分にもいかないところで、ついていけずに挫折してしまうのですが、この本は有能な宇宙物理学者の著者がユーモアを交えて書いてくださっているので、少し期待をしています。ですがやはり凡脳の私にはちょっと無理のようです。でもこのテーマが少しでも理解できれば、これからの人生に少し自信を与えててくれるのではともう少し頑張りたいと思います。

ところで私は銀河団の写真が好きです。この本にもハッブル宇宙望遠鏡がとらえたという50億光年彼方にある銀河がたくさん(何百個以上)集まっている写真があります。

(以下本文のコピペです)この像を見ていると想像をかき立てられる。まず注目したいのは、星のように見える点は星ではなく銀河だということだ。それぞれの銀河にはおそらく1千億個ほどの星と数千億の惑星が含まれているだろう。そこには遠い昔に滅びた文明も含まれていることだろう。というのも、これらの像はそれぞれの天体の50億光年前の姿だからである。光が放出されたのは、われわれの太陽と地球が形成される5億年前のことだから、この写真に光として映り込んでいる星の多くは何十億年も前に原子核のエネルギーを使い果たし。もはや存在しないだろう・・・・(以上コピペでした)

この銀河団も宇宙のほんの一部で、そんな広大なものが、ビッグバンにより始まってといわれてもえっ??そんなこと有りえるの?と凡人には感覚的にもついていけないのですが、その始まりの前には何があったのかを思うと、もう理解不能。しかし、「無から宇宙が始まる」となると、ちょっと安心するのです。でもはやりそれを理解するには、このオツムでは無理そうで、私にとってはそれはもう信じるしかないという宗教の領域かもしれません。

 一枚板風ブラックウォールナット友木3枚矧のテーブル (長さ1830×幅865×高700)
さ~てブログも久々に書いたし、これから仕上げのオイルを塗ってきま~す。いざ出航!

2014/01/28

チェリー波状杢の共木3枚矧


8年ほど前に丸太で購入したチェリーの一本が大当たりで、全体に波状の杢々が出現。いつか脚から何から何まですべてオール杢々のデスクをと!企んでいました。今回ようやくトライしています。
天板は3枚矧ですが、こういう板の場合は、どう組み合わせるか。めっちゃ悩むことになっています。例えば組み合わせ的には、、一枚で裏表、左右どちらにするか4通りの向きがあり、さらに順番をどうするか、手前にするか真ん中にするか、向こうにするかでさらに組み合わせが増えて計算上では、4×4×4×6で382通り?もあるのです。合ってるかな?その中からベストの組み合わせを選びたいのですが、それはもうなんといますか・・・・スーパー共木なのです。

ちなみに左の板だけを左右反対にしてみますと・・・こうなります。どっちがいい?ん・・・・

 手前の板を裏返してみますと・・・こうなります。どっちがいい?ん・・・・


右の板を左右ひっくり返してみますと・・・こうなります。どっちがいい?ん・・・・

というわけです。どこかで決めないといけません!!!ん・・・・

矧合わせの一つの考えとしてとして「反り難さ」ということがあり、木裏ー木表ー木裏としたいところですが、杢の出方の美しさで見ると、同じ向きの方が美しいことが多く、特に杢は木表では凸に見え、木裏では凹に見えることが多い。そういうバランスを楽しむ場合も大いにありですが、今回は木表同士を上にすることにまず決めました!これで組み合わせは半分になります!そして、次に矧面の隣同士の面白さ、矧いだのに繋がっているような、有機的な交わり。その辺で絞っていきます。
でもこれがまた光源がかわると、全然見え方が変わってきて・・・結局なかなか決められずに・・・何日も眺めてこうしてにやにやしています。贅沢な悩みでしょうな。

2014/01/26

友木(ともぎ)

さてこのブラックウオールナットの3枚矧ぎ、共木でしょうか?違うでしょうか?


もともと2枚矧ぎも可能な板でしたが、幅の狭い方(W400)をあえて二つに割って、真中に広い板(W500)を挟んだようにして、3枚矧ぎにしました。矧ぎ面は柾目どうしになりますので、ぱっと見一枚板風を狙います。両端に板目が残りますので、幅の許す限り、板目をカットしてストイックにせめていきます。
 実はこのもともとの2枚の板は共木ではありません。色合い風合いが、若干違って仕上がる可能性があります。2枚矧ぎはもちろん迫力あって素晴らしいとはおもいますが、この疑似一枚板風3枚矧ぎにすると、その違いが返ってアクセントになり、共木にはない味わいも期待できます。共木ではありませんが、違う丸太からの板をバランスよく使うので、友木(ともぎ)と呼んで楽しんでいます。

2014/01/19

共木(ともぎ)

同じ丸太から切り出した板を共木(ともぎ)といいます。通常一つの作品を作るには何枚かの板を使って製作しますので、共木だけで作ることができれば、その木の個性を最大限に活かした作品ができます。おとなしい風合いの丸太でしたら、落ち着いた雰囲気に、逆に元気な丸太でしたら、エネルギッシュな作品になります。実際は、丸太を製材する時には厚みやサイズはいろいろですので、なかなか一つの作品で全部を共木でつくることは難しいものです。

さてこの2枚の板ですが・・・ 共木でしょうか。違うでしょうか?


色合いはなんとなく似ていますが、木目の模様が全然ちがいます!
・・・実は共木なんです!
それどころか、長い一枚の板を2つにカットした2枚なのです。
手前と奥とではこんなに模様の雰囲気が違うのです。



でも2枚並べて使うと、共木なのにちょっと違和感がありそうです。
2枚矧ぎは迫力がありますがバランスがなかなか難しいものです。

そこで今回は、賑やかかな奥の一枚を真ん中にして、両側にこれまた共木の長い板を2枚にカットしたも板で挟んで3枚矧ぎにして天板を作ることにします。この両側の板も同じように、手前が大人しく奥が賑やかな板ですが、3枚になりますと、それもまた面白いかなという絶妙な感覚になります。



無垢の家具作りの醍醐味です。
面白い組み合わせが見つかればもう出来たも同然の気持ちになります。

2013/07/18

ブックマッチの門戸


 先週、机の納品と次の製作の打ち合わせのため愛媛県の松山市を訪れた。30数年ぶりの四国の地を踏んだこともあり、また松山市が同じ県庁所在地の長野市とは比べ物にならないほど元気一杯の街でちょっと羨ましかったけれど、松山城の門戸の迫力には感激した。本丸大手の重要な固めで、城内でもっとも堅固な建造物に「筒井門」というのがあって、その扉の板戸に使っている板。長さ3メートル幅1.5メートル厚み6センチの楠の一枚板。左右でブックマッチで使っている。すっげー!
 「ブックマッチ」とは厚い板を2枚に挽き割って、それを本を開いたように2枚に矧ぎ合わせてテーブルの天板などに使う手法のことである。家具でも開き扉の鏡板にこのようなブックマッチ的な使い方を好んで用いるので、ジョージナカシマが名付けたブックマッチ以前に、古式ゆかしい呼び方がありそうですね。門マッチ?扉マッチ?だから・・・ゲートマッチ?全然古式くないですな。
 ところでこの門は1600年ごろの築城以来最古の建物のひとつであり、昭和10年に国宝に指定されたが、戦後消失し(なんともったいない!)昭和46年の作とありました。

2013/07/07

森のベラ



無垢の木は同じものが一つと無く、ほんとに様々の色合いや模様が現れ、その自然の個性の表現力に日々感動して楽しませてくれますが、その中でもキハダの色合いはちょっとどきどきする。黄色みを帯びた緑っぽいベースの色合いに、青っぽいスジや気持ち赤っぽいスジが現れるものがあり、お魚のベラの賑やかさに通ずるものを感じて森のベラとしてみた。
 先日コハダの酢漬けを食べた時、魚の名前が思い出せず、キハダだったかなと間違ってしまった。ベラとコハダはだいぶ違うが、もしコハダの色合いがキハダに似ていたら話は近いわけですが、いずれにしても、森の幸と海の幸がいろいろ混じって楽しい言葉遊びで楽しめる。
ベラの色合いはなんとなく妖怪的とも思えるがそれは「ベム、ベラ、ベロ、妖怪人間~」をこじつけたいからで、話はどんどん広がっていく。早く人間になりた~い。

2012/11/23

一枚板風三枚矧

こたつ用の框(枠)で囲んだタイプの天板で、中にハメる板の話です。今回は80センチ四方の天板で、中板は67センチ角程度の予定。クルミ材では67センチ幅の一枚板は無理なので、何枚かを幅方向に板矧ぎします。如何に美しく、面白い板矧ぎにするかがポイントになります。
原板Aは幅35センチの一枚板です。同じような板で2枚矧にすれば幅は足るのですが、2枚矧は結構バランスが難しい。そこで今回はもう一枚の板Bを2つに割って(実は乾燥ですでに割れていたのですが・・・)板Aの両端に付けて3枚矧とします。A1の両端の柾目のところとB1、B2の柾目のところを矧ぎ合わせて見た目「一枚板風」を狙います。、

柾目どうしの色合いや方向をいろいろ考えて最適な組み合わせをあれこれと検討するのは楽しいのですが、矧ぎ面の木目の方向が逆になってしまうことが多いのです。逆になりますと、カンナがけではその境は逆目になることや、仕上がってもどうしても光の当たる方向により、境がはっきりと見えてしまうところがでてきてしまうのです。結構律儀なんです。
(訂正)写真真ん中の板は「B」ではなくて「A」でした。