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2009/05/02

ブックマッチのある風景

「ブックマッチ」(Bookmatched)2枚の隣り合った板を本を開いたように合せる天板の作り方です。上の写真は材はブラックウォールナットで二組ありますが、共に2枚の板の樹皮の連続したラインが揃っていますね。同じ原木の且つ隣合った板なのです。
製材する時にできるだけこのような組み合わせになるようにトライしますが、なかなか思ったようにできないことも多く、また乾燥で割れたり、捩れたりこれまた思うように行かないこともあり、貴重な組み合わせではあります。乾燥の上がった材を元の丸太の形に戻して、整理しますが、このようなペアが見つかるとうれしくなります。実際に2枚の板を少しずつ重ねて、ラインが揃った瞬間、これだけで結構感動します。逆に少しでもずれると、なんだか気持ち悪かったり、重ねる前は、全然違う板かと思っていたのに重ねてみるとぴったりという場合もあります。(まだまだ作業ありますのでアルバイト募集中で~す)さて上の板を矢印の方向に開いてみます。お~これがブックマッチ(本を開いたような!)
この板の場合は、一枚の幅が600ミリ以上ありますので、2枚をあわせると1100は優に超える立派な天板になります。何処をどのようにカットするかで風合いは全然違ってきますし、反対側(右側)に開くとまた違ったパターンになります。実際に作成する時は、悩みに悩むのです。長さは1800~2500くらいが良さそうです。一緒にいろいろ考えながらテーブルおひとついかがですか。

2009/04/17

一枚板との格闘技

手持ちの機械にかからない幅の広い一枚板(60センチ以上)を平らに仕上げるはどうしても手鉋(電動の手鉋も含めて)による手作業になります。木工作業の中でも、「板と格闘している」という醍醐味があり、やり甲斐はあるのですが、かなり体力が要るので、さあやるぞという覚悟が必要です。もっと大きな機械設備のあるところにお願いする方法もありますが、費用も時間もそれなりにかかってしまいます。最近はなにかと機械に頼ることも多くなり、少し体も鈍っていたので、このメープルの一枚板は久しぶりに格闘してみようとずっと楽しみにしていました。昨年末から鉋で少し削っていましたが、予想どおり、反りがあまりにも大きく、なかなか手ごわいので、「手持ルーターを使ったプレーナー治具」を作りました。乾燥で反ったり捩れたりした板をまず、ざっと平面にできたらいいなと、これも前から考えていたやりたいことの一つで今回思い切って作ってみました。板を取り囲む大きなしっかりした枠の中に固定して、その上にハンドルーターをXY方向に移動させて、平面を出していく。枠や天板の安定性、ルーターのぶれなど、精度がどこまで保てるかがポイントであることは予想されましたが、私の性格上、まあ最後は手鉋で仕上げるのでそこそこでなんとなるやろということで、とりあえずこんな形でやってみました。まずは大きなダメージもなくなんとかうまくいきました。
最後の手鉋仕上げ。ちょっとしたルーターの目地を払うのにやはり結構苦労はしましたが、今回はそこは半分楽しみで。実は一枚板の鉋仕上げは久しぶりだったので、腕、胸筋、腹筋 背筋、太ももまで結構きました。毎日作業としてこれをやれといわれると、歯がガタガタになりそうでうすけど。考え方を変えてみますと、お金を払ってエクササイズに通うよりは、実利を兼ねた素晴らしい仕事だと。ですが・・・実は今日から週一でヨーガ教室に通いだしました。きっとすがすがしい気持ちで鉋がけができるのでは?。呼吸を整えて鉋がけ。削るごとにきれいになっていくメープルの一枚板に触れながら、ちょっとご満悦な私でした。

2008/12/28

樹皮の年輪


木は形成層で成長していくので、皮を剥かれた丸太は触れている外側が一番新しいのですが、樹皮の方は内側が一番あたらしいことになる。つまり立木で触れている樹皮は昔のものなのです。皮にもしっかりと年輪がある。このクルミの場合は、ほらこのとうり、薄い皮がクロワッサン風に重なっていて、ひょっとすると50年分くらいはあるか?ちょうど私の生まれたときにできた皮がようやく表にでてきているということになる。よーく考えると当たり前なのだが、なんか変な感じもちょっとする。

2008/12/19

クルミ材の皮むき

春に製材したクルミ材が乾燥から上がった。皮付きのまま製材して乾燥したので、耳がこのとおり綺麗に残っている板が多くうれしい。樹皮に石などがかんでいると、製材のときに帯鋸でチンとやっては困るので、通常は製材前に機械でがりがりと皮を剥くことが多い。その場合、皮だけきれいに剥けるわけではなく、どうしても白太の部分も傷がついて、耳付で使え辛くなってしまうこともしばしば。でも逆に皮付きのままで製材した場合は、自然乾燥の過程で虫が入るので、本当は、製材する前に、生皮を剥くか、製材後すぐに皮を剥けばいいのだけど、製材時の忙しい時になかなか時間がとれない。また全部が全部耳付で使うわけではないので、せっかく頑張って皮を剥いたけれど、(周りの方に手伝ってもらうことも多い)製材や乾燥で、その必要がなかった板をみると、ちょっとその苦労がむなしかったり、これまた難しい。
今回は、乾燥が終わった板の中で、これはと思える板だけを、時間を気にせずに皮をむけるのがいい。山のような材を前にして格闘技もんだけど、とっても楽しい仕事だ。即、製作意欲につながる。あれもこれも耳付で使いたくなってしまうという贅沢な気持ちになる。

2008/11/27

キハダの香り


秋に乾燥が上がったキハダ(黄檗)を使って、和室に置くキャビネットを作っている。キハダを使うのは初めてで、どんな感じに仕上がるのか、とても楽しみ。重くないのに、以外にしっかりとしている。削りやすく、きれいな杢も所々出て、仕上がりもやさしく、とてもいい感じ。木肌を鉋で削ってみると、甘いとろけるような香りがする。樹皮の黄色いところは最高に苦いのに、このギャップがまたいい感じ。すっかりキハダ、木肌、着肌??に魅せられてしまっている今日この頃。

2008/08/08

キハダが仲間入り


この冬、キハダの丸太に恵まれた。テトラパズルのキューブに黄色のアクセントが仲間入りして、とてもうれしい。

キハダは樹皮と丸太の間の黄色いコルク質が黄檗(オウバク)として健胃薬として使われるので有名だ。この鮮やかや黄色とこの苦さ。なんという自然の賜物。ちょっとお腹が気になる時にガム代わりに噛めるので気持ち安心。でもめっちゃくちゃ苦くて僕のもっとも苦手な味。子供の頃、頓服の粉薬をいやいや飲まされた思い出がよみがえる。
木目的には、和家具向き。耐水性もあり、体に良さそうなので食器棚やベッドに使おうと思っている。乾燥上がるのがすご~く楽しみ。

2008/07/15

メープルとイタヤカエデ(2)



5月14日のブログでメープルとイタヤカエデの原板での違いをお話ししましたが、この度それぞれが机として完成しましたので写真で紹介いたします。結局は、樹種の差もあるけど、丸太の違いや部首の違いも大きいね。ということになります~。今回はお客様にいろいろご提案して選んでいただいて、たまたまその違いを比較することができました。ありがとうございました。

2008/05/25

メープルとイタヤカエデ



「メープル」だけでなく、一般に流通している樹種の名前は、実際はさらにいろんな樹種を総称して扱われることが多いです。メープル(カエデ科)の仲間は、世界には300種ほどあるそうで、日本のイタヤカエデもそのうちの一つでしょう。アメリカではおもに15種類あり、木の性質で「ハードメープル」と「ソフトメープル」にわけています。「ハードメープル」は木の名前ではなく、おもにシュガーメープルとブラックメープルという木をさしています。(ちなみにブラックメープルは板が黒いのではありません。樹皮が黒っぽいのです。)
メープルといえば・・・白っぽいテーブルトップか、ボーリング場や体育館の床のややクリーム色、或いは壁の付き板で使われている少し赤味があったり、カールした模様などが浮かんできますね。

これまでイタヤカエデをメインに、丸太で製材してストックして使ってきました。メープルは乾燥材で少し使いましたが、やはりイタヤより気持ち乳白色から黄色味のあるイメージでいました。ところが、昨年製材した巨木のメープルは、色味木目とも複雑な個性でびっくり。イタヤの心材には色の濃い部分があり、それと区別がつかないようなところもあり、またその後製材したイタヤカエデがこちらは逆にいわゆるメープル近い感じの丸太で・・・えっ?どっちがどっち?状態になっています。「メープルとイタヤカエデ」もうこうなれば、色合い風合いのバランスを考えていっしょに扱って使った方が楽しいかな。その方が楽なんですけど・・・

2008/01/31

北海道原木の旅


これまで、材木屋Nさんの力のおかげで、すばらしい丸太に出会ってきたことは家具屋としてはとても幸せでした。いい材が手持ちにあるから良い作品ができるといっても過言ではない。(本当はこれは良い丸太、これは悪い丸太などというのは人間のエゴだよな。とおもいながらも、自分が使うのは良い丸太がいいなと我侭をいっている)
しかし、年々、「今年はサクラやクルミがでない。」という暗い話が続いている。そらそうだ。どんどん切れば無くなっていくよな。ほんとうに実際はどうなんだろう。どんなふうに山に生えていて、どういうふうに切り出して、どんなふうに流通していくのか、できるだけ源流に遡り、少しでもこの目で確かめたい。今回、ラッキーにも冬の北海道を訪れる機会に恵まれ、材木商、木材市場、製紙会社、そしてメインイベントの伐採現場を見学することができた。
感想、結論からいいますと、ほんとに、絶対量が減っていて、良材がへっている。そこへ、温暖化対策の影響もあって、伐採率もへっていく方向のようだ。ほんとに北海道産材は貴重になってしまうということだ・・・ということはどうしたらいいのだろう。私個人としては良い材をできるだけストックして、お客様にも天然資源の貴重さを感じていただきながら、適材適所で大切に使い、永く使える家具を製作すること。やっぱりそれか。それだけではいかんよな。そして、後世のためにも。この潅木が100年後200年後、太い桜や胡桃になって、また使えるようになるように森を守り育てること・・・どげんかせんといかん・・・貴重な体験4泊5日の旅でした。

2007/10/25

柾目のブックマッチ


今年の春に、お客様よりメープルのテーブルのご相談があったときに本当にむちゃくちゃタイムリーに材木屋さんから、「メープルの大木が入ったので見に来ないか」という話があり、すっ飛んで名古屋のヤトミ製材にでかけました。長さ2メートル80。幅1000~1100。既に製材はされていたものですが、個性的な、面白みのある一枚板がどっかーんと。


今回のご注文には、一枚板は厚すぎて、乾燥も間に合わないので、芯よりの柾目の3寸(A)と4寸の厚板(B)をさらに小挽きして、柾目の部分をブックマッチでいくことにしました。脚は(C)の部分でつくります。



なんとも面白い木目と美しい耳。さあこれをどうカットして、1800×850の天板にしていくか。自宅の庭に立てかけて乾燥させながらずっと眺めてきましたが、このたび、工房に運び込んで、第一弾のカットをしました。11月末完成の予定で少しずつ削り込んでいます。お楽しみに!

2007/10/21

一枚板との出会い


前回の近況で納期の遅れの言い訳を書いてしまいましたが、お客様から励ましのお便りなどをいただいて頑張っております。ありがとうございます。

さて、これまでたくさんの丸太に出会い、取っておきの一枚板をいろいろストックしてきました。眺めているだけで、なんともいえない活力が沸いてきます。どういう作品にしようか。貴重な天然資源をいかに後世に伝えていくか。むしろ責任感さえ感じます。最近は、殊に「良い丸太が減ってきた。材がない。価格が上がっている」など毎年のように言われ、環境問題、世界経済情勢も含めて、木を扱っている者としてもいろいろ憂慮しないといけない状況になってきています。そんな折、「20年ほど前に製材して寝かせたという美しいセンの大木と、ミズメの虎杢の貴重な板」に出合ってしまいました。「もうこんな木に出会う事はできないかもしない」といわれると・・・つい清水の舞台から飛び降りてしまいます。
ミズメ・・・長さ2000×幅850~1050×厚み2寸五分(75ミリ)
セン・・・長さ2050×幅1000~1100×厚み3寸(90ミリ)


自宅にも飾っておこうと、この2枚を運んできて下駄箱の前に立てかけていました。昨日皆で家の中に上げようと思いましたが、寝起きでかつ忙しい朝の仕事ではありませんでした。持ちどころも難しく苦戦。センはなんとか上りましたが、ミズメはそのまま。下駄箱が使いにくいという苦情はしばらく続きそうです。見にきてください。

2007/06/25

庭かスタジオ2


この時期は、曇りの天気をねらって庭で撮影するほうが白幕を張るより楽チン。
緑が生き生きとして優しく家具を包んでくれます。
デジカメ全盛時代になってしまいましたが、我が家はデジカメ一眼レフにはまだ手がとどかず・・・といいますか、子供たちには、せっかくある銀塩の一眼レフカメラを使って、基本を掴んで欲しいと願っています。この写真の彼は次男で、今日は、絞りと被写体深度とボケ具合・・・を学んでいます? この写真を撮ったのは長男で、こちらはデジカメです。こうしてすぐにHPに載せられて便利なんだよな。



といいながらさりげなく?テーブルを自慢したい私。このブラックウォールナットのブックマッチ。丸太でストックしているからこそできる自信作。ただ、もうこれっきりです。いつこんな丸太に出会えるか。ご希望がありましたら、3年くらい待っていただけるなら、ご相談くださいませ。

2007/03/04

庭かスタジオ


完成した家具を納品前に写真撮影するのも大切な仕事。昔は工房の庭での撮影が多かったが、栗田の自宅は立派な庭すぎて僕の家具にあわない。それで展示室中にロール紙を垂らしてなんとか撮影してきたけれど、光源の問題や、なんせ狭いので、家具の大きさにも制限があった。そこで庭の軒先からロール紙を垂らして撮ったらどうかと提案したが、外に出しっぱなしではロール紙が焼けるだの、痛むだの「もったいない家族」の反対にあっていた。ええやんけ、使ってなんぼのもんや。そのためにぐるぐる巻いてあるんや。と反対を押し切り、一人寂しく設置してみた。すると、思ったより、大丈夫そうで、結局「結構いいじゃん」ということに。しかし確かに、一回の撮影で、紙が少し破れた。下にもう少ししっかりしたものをひかないとね。
※スタジオ貸します。なにか撮りたいものがありましたらどうぞ。ただし曇天の風の穏やかな日中に限ります。

2007/02/02

新たなサクラとの出会い


あっという間に2月になってしまった
机の制作はじっくり取り組んでいますのでご安心あれ

先月、またすばらしいサクラに出会うことができた
できるだけ耳を美しく使いたいと わがままをいって
みんなに手伝ってもらっても結構大変だった
あの手この手で皮を剥いだので大切に使いたい 

この辺材のかたまり 簡単に薪にするわけにはいかない 
ニマ工法で器でも作りたいが・・・さすがにちょっとその時間はない。
どうしよう

2006/12/26

棚箱



我が家にはまだ仏壇がない。大阪の実家にも無かったのでどうもそういう習慣がない。父はちょっと変わっていて、とにかく議論好きで理屈好きで、私が純真な若者であったころ「そんなんへ理屈や」とよく反論したものだ。父は無宗教でなく脱宗教でいくといっていたが、晩年は般若心経を研究していて、仏教的な考えには惹かれていたとおもう。あれはまだ私が家具屋になる前のことだったと思うが、父が、「いわゆる仏壇は要らないが、想い出を飾る「メモリアルボックス」ようなものが欲しいといってたのが、とても印象に残っていて、家具屋になってから、なんとなくデザインを考えたりはしていた・・・でも実際に製作するのがこんなに早く来てしまうとは・・・・
母が、突然亡くなって、気を落としていた父に「メモリアルボックス。作るね。希望があったら言ってね」といってあった。梅雨のころ、父から一通の封書が来た。なんだろうと開けてみると、折り込み広告の裏紙に鉛筆でのラフスケッチがあった。「棚箱」と書いてあった。私は、「メモリアルボックス」より「メモリアルキャビネット」にしたほうがかっこいいかな、なんて思っていたので、漢字の名前は返って新鮮であった。あえて仏壇とかいていなかったのは、まだこだわりがあるのだろう。このタイプは確かに仏壇ではなくみかけ厨子というタイプのようだが、父の図面では、たしかに、単なる棚板がある棚なのだ。

2006/09/18

カエデ 乾燥上がる


「ほーーーいい板だねーーーカエデかね。」
「よくわかるね。さすが!イタヤカエデとハナカエデ。」
「そら甘い香りがするもの」
  

2006/04/20

サクラとチェリー

今日は朝から冷たい雨で風も強く、霰も降った。待ち焦がれるサクラの開花もお預けの荒れ模様。
さて、このチェスト。左はサクラで右はチェリー。サクラのチェストはハンドルはチェリーでアクセントをつけたかったので、あまり赤みのつよくないサクラを使って、逆にハンドルは赤みの強いチェリーを使った。右のチェストのチェリーもやや赤みのある板を前板に使ったので、こうして二つ並べるとサクラとチェリーの差がよくわかる。日本のサクラでお願い!という方と、どうしてもチェリーでいう方の気持ちもよくわかります。でもサクラでも赤みの強いところを使うと、チェリーに似た感じに近づく。チェリーは化粧板もふくめて一般的によく目にするのでイメージしやすく、このなんともいえないピンクの暖かみがあり、人気がありますがなんといっても板が結構高いし、幅の広い板を入手するのが困難な状況なのです(近々、原木の丸太を入手しようとおもっていますが)一方国産の無垢のサクラを使った家具はそんなに目にすることはないので、イメージしにくいとおもいますが、たまたま昨年、良い原木を結構たくさん製材したので、いろんな風合いのサクラのストックとなんといっても幅の広い板をふんだんに使えます。今度は赤みのあるサクラで作ってみたいとおもいます。