先日信州木工会主催でウレタン塗料の講習会があったので参加しました。
☆一つは寿化工のプレポリマー(木固めエース)。文化財の修復や木製の食器などに広くつかわれているウレタン系塗料。
☆もう一つはキャピタルペイント社のオリオ2。オイル仕上げに近い風合いのウレタン系塗料。(写真はキャピタルペイントの長澤さんの実演)
私は、これまでほとんどの作品はいわゆる自然系のオイルで仕上げてきましたが、オイル仕上げにするかウレタンにするかは、いろんな視点で考える必要があると常々思っています。
安全性・・・一旦形成したウレタン自体には安全性の問題は全くないので、家具を使われるお客様にとっての安全性という視点では両者に差がないと考えていいとおもいます。・・・ppmオーダーの残留物が影響するのでは?という不安はウレタン塗料でも自然オイルでもどちらにしても絶えず残るかもしれませんが・・・我々の無垢の家具の塗装でそこまで気にするのは、ちょっと考えすぎでしょうか。
仕上がりの風合い・・・ウレタンの方が自然でないという印象があるかと思います。確かにそれは大事な視点で、いわゆる厚く塗膜を形成するタイプのウレタン塗装はもちろん考えていません。「オリオ2」は天然のオイル(ひまし油・不乾性油)にイソシアネートを加えてウレタンにするこだわりの優れもので、ぱっと見の仕上がり具合は、オイル仕上げと差がありません。もちろん塗り重ねますとうっすらと塗膜を形成していきます。オイル仕上げもオイルサンディングしたり、なんども塗り重ねますと塗膜っぽくなってきますので、オイルかウレタンという差ではなく、塗り方でも大きく影響されます。
汚れやすさ、メンテナンス・・・ウレタンの方が断然シミは付き難いのですが、全然つかないわけではありません。ウレタンはメンテナンスフリーといっていますが、どうでしょうか?むしろお客様サイドでウレタン塗料を塗ることは、まず無理ですので、そのレベルでは、メンテナンス不可?という視点もあるかとおもいます。日常のお手入れと言うレベルでは、通常のオイルと同様のメンテ(もちろんウレタン仕上げの方が楽ですが)で良いと思います。
シミがついてどんどん味が出てくるオイルが好みか。或いはいずれ使い込んだ味はそれなりにでてくるが、日頃シミは気にせずに使えるウレタンがいいかということでしょうか。
濡れ色の変化・・・・オイルでは時間が経つにつれて色が深まっていくことが多いですが、オリオ2は深まりにくいというとい特徴が有り、この差は大事な視点だと思います。
結局・・・
★シミ等は気にせずにまたどんどん色合いが深まって楽しみを味わう場合は・・・自然系オイル
★シミは付き難い方が良い。色も深まらない方が良い。でもオイルに近い自然な感じでという場合は・・・・オリオ2でしょうか。
なお、オリオ2は通称ウレタンオイルとも言われていますので、これで仕上げればウレタンだけれどオイル仕上げ?ということになります。気持ちはわかりますが・・・返って話はややこしくなってしまうような?
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